GEORGE HARRISON / COMPLETE LIVE HARRISON FILMS 【3DVD】
GEORGE HARRISON / COMPLETE LIVE HARRISON FILMS 【3DVD】
販売価格: 6,500円(税込)
在庫あり
ビートルズは1966年にコンサート活動の一切を停止し、二度とステージに立つことはなかった。終わりなき熱狂と興奮の中にあって、台風の目の中にいた4人は冷静にミュージシャンとしての自己を見つめ、音楽的な発展はこのような騒乱の中に見出せないという結論に達した。ツアーを伴うステージ活動の停止は、ジョンとジョージ、特にジョージが強く主張していたと伝えられる。リンゴは他のメンバーの意見に従うというスタンスであった。ポールはバンドの結束と原点はライヴにあると考えていたが、最終的には他のメンバーの意見に同意することになる。
元々ジョージはQUIET BEATLEの愛称が示す通り、物静かで庭いじりを好む典型的な英国人であった。広大な敷地に童話の世界のような邸宅を構え、趣味に没頭する、そのような生活をジョージは望んでいたのだろう。ビートルズ解散後は大作『ALL THINGS MUST PASS』をリリースし、ライヴから解放され、またビートルズから解放された自由を満喫しているかのように思えた。バングラデシュ・コンサートで単発にステージには出たものの、おそらくジョージにとってツアーとは無縁なものに思えた。しかし、意外なことに、1966年以来、ビートルズのメンバーで初めて全米ツアーを行なったのは、あれほどライヴを忌避していた誰あろうジョージだったのである。1974年、自身のレーベルであるダークホース・レーベルの立ち上げと、同名アルバムのリリース、そしてレーベル所属のラヴィ・シャンカールと共にアメリカとカナダで45公演のツアーを行なったのである。しかし、残されている音源を聴けばわかる通り、ツアー慣れしていないジョージの声は早々にガラガラになり、また中盤のラヴィ・シャンカールの演奏はロックを聴きに来た聴衆にはあまり受け入れられず、マスコミには散々な酷評を受けてしまう。「気にしぃ」のジョージは以後、ツアーに出ることはなかった。
1991年、突如ジョージがツアーを行なうと発表された。先の北米ツアーから実に17年ぶりのことである。しかも日本のみというから驚かされた。当時の日本はまだバブルの余韻が残っており、為替も円高であったこと、またクラプトンが、自身を含むバンドをジョージに提供すること、何度も来日公演を行なっているクラプトンは日本のメディアが他国のように辛辣でないことを知っていたことなど、様々な要因が重なり、エリックと一緒に日本でならと、ジョージが重い腰を上げたのである。この時の日本公演の成功に手応えを感じたジョージは、その後イギリス・ツアーも噂されたが、結局実現しなかった。これらジョージの主なライヴは以下の通りである。
■1971年 バングラデシュ・コンサート
2日間のコンサートがMクローデルより『COMPLETE PERFORMANCE OF BANGLADESH CONCERT』というタイトルでリリースされている。本編には唯一のライヴ・テイクであるレアな「Hear Me Lord」が含まれている。またリハーサル音源や、アセテート音源なども併録している。伝説のバングラデシュ・コンサートが2日間ほぼ完全な形で聴くことができる。
■1974年 北米ツアー
Mクローデルより、『FORTHWORTH EXPRESS』(ラヴィ・シャンカールのパートを含め完全収録)、『SEATTLE EXPRESS』(ツアー・パンフのレプリカ付。ラヴィ・シャンカールのパートを含め完全収録)、『ROCKN’ ROUGE』(バトン・ルージュ公演とロングビーチ公演を収録。ポスター付き)、『LOS ANGELES EXPRESS』(サウンドボード収録)の4タイトルがリリースされている。
■1991年 ジャパン・ツアー
全12公演がMクローデルよりリリースされている。特に大阪二日目と名古屋公演、福岡公演の完全収録盤はMクローデルが初登場かつ唯一のタイトルである。また部分的ながらサウンドボード音源や、エリック同席の日本における記者会見などを収録したEXTRA DISCや、ツアーを伝えるニュース・レポートなどを収録したDVDなどもセットに含まれている。
■1992年 ロイヤル・アルバート・ホール
日本公演の余波を受けて英国における1日のみの単発ステージである。Mクローデルより『CONCERT FOR NATURAL LAW PARTY』というタイトルでリリースされている。前座のゲーリームーアを含むコンサート完全収録のみならず、複数のオーディエンス・カメラで撮影された当日の映像を完全収録したDVDとのセットである。
このように、ジョージの主だったライヴというのは、大まかにこの4種しかない。ポールやリンゴに比べると淋しい限りではあるが、そのどれもがファンにとっては宝物のような珠玉の輝きを放っている。しかし、これ以外ジョージは一切ステージに立たなかったのか、或いはライヴを行なっていないのかというと、もちろん決してそのようなことはない。大々的にツアーは行なっていなくとも、単発でのステージは数多くこなしている。現在ではそれらジョージの活動記録は詳細に判明している。本作は、そのジョージの単発出演や、ゲスト出演、テレビ出演など、上記に挙げた4種以外の細かなライヴの映像を集めたものである。では内容を見ていこう。
【DELANEY AND BONNIE】
1969年12月10日、デラニー&ボニーのコペンハーゲンにおけるライヴ映像である。ジョージはサポート・ギタリストのひとりとして参加している。デラボニの曲のみならず、同じくサポート・ギタリストとして同行しているエリック・クラプトンもヴォーカルを採っているが、残念ながらジョージはヴォーカルを採ることなくバックに徹している。それにしてもジョージの風貌が長髪を南沙織のように真ん中で分け、髭も伸び放題と、ゲットバックセッション時よりもさらに伸びており、『ALL THINGS MUST PASS』のジャケットそのままなのが感慨深い。まだビートルズがかろうじて継続していた時期でありながら、ビートルズの枠から出て先に進みたいというジョージの気持ちが、このような他のミュージシャンとの交流で刺激されたことは想像に難くない。
【DICK CAVETT SHOW】
1971年11月23日ニューヨークにおけるテレビ出演時のスタジオ・ライヴである。メインはゲイリー・ライトである。演奏している「Two Faced Man」は1971年11月1日にリリースされたばかりのアルバム『Footprint』からの1曲である。このアルバムにジョージはギターで全面的に協力をしており、その縁でこのテレビ出演に至った。ジョージはうつむき加減で黙々と印象的なスライド・ギターを奏でている。このギターを聴いただけで、これがジョージの手によるものだとすぐわかる、それくらい特徴的なものである。
【DAVID FROST SHOW】
1971年11月24日ニューヨークにおけるテレビ出演である。ラヴィ・シャンカールと共に出演し、ジョージはシタールを披露している。曲というよりも思いついたフレーズを爪弾いているという感じである。ジョージいわく、シタールをマスターしようと思うと一生かかるとのことである。
【RUTLAND WEEKEND TELEVISION】
場所はイギリスに戻って1975年12月13日のテレビ・ライヴである。モンティ・パイソンを生んだお国柄だけあり、冒頭のコミカルな寸劇にもジョージが登場する。ジョージは片目片手片足のティピカルな海賊の扮装で寸劇に参加。まるで沢田研二がドリフのコントに登場した時のような驚きを感じるだろうが、本人もかなり楽しんでいるようで、一般のイメージに反し、ジョージ自身がこのような事が好きなのだろう。演奏の方は有名なので今さら説明の必要はないだろう。「My Sweet Lord」がシフォンズの「He’s So Fine」の盗作(実際に替え歌かと思うくらいに酷似している)ではないかと訴訟になっている最中の出演であり、それを逆手にとってユーモアで返す趣向となっている。イントロこそ「My Sweet Lord」であるが、曲が始まると歌詞もメロディもがらりと変わるフェイントで、曲は「The Pirate Song」(盗まれた曲)という演出である。なんとも言えないジョージのドヤ顔が見物である。
【SATURDAY NIGHT LIVE】
1976年11月18日ニューヨークにおけるテレビ出演。ポール・サイモンとの共演で、お互いの曲を歌い合うというもの。これがもう実に素晴らしい演奏でジョージのライヴの中でも外すことのできない名演である。ポール・サイモンが「僕の友人のジョージ・ハリスンです」と紹介した時の客席の絶叫に近い沸き具合も凄まじい。1曲目は「Here Comes The Sun」である。演奏にしまりがあるのはポール・サイモンのギター・ピッキングの素晴らしさであろう。最初にジョージが歌い、2番の歌詞をサイモンが歌っている。ポール・サイモンが終始ジョージと目を合わせて歌っているのが良い雰囲気である。二曲目はサイモンがメインでの名曲「Homeward Bound」である。今度は「Here Comes The Sun」とは逆で、サイモンが先に歌い、2番の歌詞をジョージが歌うというもの。オリジナルを踏襲しつつ、いかにもジョージっぽく歌いまわしを変えているのがクセになりそうでたまらない。これは必見である。
【DISCO 77】
1977年2月2日ドイツの番組におけるスタジオ・ライヴである。音声はマイミングであるが、アルバム『33 1/3』のジャケット写真のようなカーリーヘアに口ひげという風貌のジョージが活き活きと歌う姿を、このような鮮明なカラー映像で見れることは貴重であろう。歌詞の合間に笑顔を見せる場面もある。どうでもよいことだが、ジョージは歯並びがきれいだ。
【SLOW HAND TOUR】
1978年12月7日エリック・クラプトンのツアーに飛び入りした日の映像である。曲は「Further On Up The Road」。ジョージは茶色系の上下にハンチング帽と、思いっきり普段着で、呼ばれたからチョイと出たという感じである。間奏で仲が良さそうにステージ上で耳打ちをして笑顔を見せるエリックとジョージが微笑ましい。ほとんど人前に出ていない時期のジョージのステージ映像である。容貌の変化からも二人の歴史の長さを感じる。演奏後はジョージがエリックの手をとって聴衆の歓声に応えている。
【DEEP PURPLE TOUR】
意外な組み合わせだが、1984年12月13日シドニーにおけるディープ・パープルのコンサートにジョージが飛び入りした時の映像である。さすがに急な飛び入りだったのか、曲はオールディーズ・ナンバー「Lucille」である。80年代のジョージ隠居期における貴重な映像である。白の上下を着たジョージが、わずかに腰をかがめ体を左右に振る程度で、ほとんど持ち場を離れず演奏している。
【A ROCKABILLY TRIBUTE TO CARL PERKINS】
1985年10月21日、ロンドンでテレビ向けの特別ライヴが行なわれた。カール・パーキンスをメインに多彩なゲストでパーキンスの曲を演奏するという企画である。カール・パーキンスを敬愛するジョージは、リンゴ・スターやエリック・クラプトン、デイヴ・エドモンズらと、このコンサートに参加している。当時テレビ放送され、音源と映像ともにソフト化されたので、ファンにはお馴染みのコンサートであろう。本作に収録しているのは、その本編ではなく、流出のリハーサル映像である。リハーサルとはいえ本番さながら、和やかな笑いの中でも緊迫した演奏が聴ける、まさに直前の最終チェックであろう。パーキンスとエリックがリハーサルをしている間、リンゴとジョージが何やら打ち合わせをしている様子など、非常に珍しいシーンを見ることができる。
【HEARTBEAT CONCERT】
1986年3月15日バーミンガムで行なわれた子供のための病院に寄付を募る目的のチャリティ・コンサートである。ヒゲを落とし短髪で精悍な顔つきのジョージが多くのゲストと共に「Jonny B Goode」を演奏している。ジョージはメインで紹介されている通り、トップ・バッターとしてヴォーカルを採っている。なんと2番の歌詞を歌うのはウイングス解散後のデニー・レインである。
【PALOMINO CLUB】
1987年2月19日、ハリウッドにある小さなクラブにおけるライヴである。誰が言い出したのか「Silver Wilburys」と呼ばれているが、ディランとジョージがいるものの、ウィルベリーズとはあまり関係がない。どことなくブルージーなアレンジでオールディーズ・ナンバーを演奏している。ジョージは「Matchbox」「Honey Don’t」といったリンゴがヴォーカルを採っていたナンバーの他、「Dizzy Miss Lizzy」のジョージ・バージョンといった珍しい曲を聴くことが出来る。最後の「Twist And Shout」はメインではなく、ビートルズ時代と同じコーラスとして加わっている。「Peggy Sue」は何度もポールは歌っているが、ジョージが歌っているのは珍しい。
【PRINCE’S TRUST CONCERT】
80年代を代表するジョージのライヴといえば1987年6月6日プリンス・トラスト・コンサートであろう。同じステージにエリック・クラプトンがいるとあって、ビートルズ時代の代表曲「While My Guitar Gently Weeps」を演奏している。もちろんギター・ソロはエリック・クラプトンである。しかもドラムを叩いているのはリンゴという、まさにレコーディング時のメンバーが3人揃っての貴重な演奏である。続いてアコギに持ち替え「Here Comes The Sun」である。ジョージがまだ20代の頃の曲であるが、40代半ばのジョージが大人の渋みを加えた名演であるといえる。そして最後はステージに立っている全員で「With A Little Help From My Friends」である。もちろんメイン・ヴォーカルはリンゴ。周囲のメンバーを見渡すとジョージの1991年日本公演のメンバーであったり、リンゴ・スター・バンドのメンバーであったり、ウィルベリーズのメンバーであったりと、この辺の人間関係が密接に繋がっているのがわかる。
【BOB DYLAN TOUR 1987】
ディランの1987年10月17日ロンドンにコンサートにジョージが飛び入りした時の映像である。曲は『BLONDE ON BLONDE』の「雨の日の女」である。オリジナルより幾分かアップ・テンポで演奏され、若きディランが必死で歌っているバックで、ジョージはあのスライド・ギターを全開で弾きまくっている。ギター・ソロで歓声が沸き起こっているのがわかる。途中、ディランがマイクから下がりジョージにリード・ヴォーカルを譲るシーンがいい。ジョージがディランの「雨の日の女」を歌うという非常に珍しい瞬間である。本作には、この日の演奏を2つのカメラで収録している。最初のカメラはステージ右上からのショット、二つ目のカメラはアリーナ正面からのショットである。
【THE MOVIE LIFE OF GEORGE】
1988年10月17日ロンドンにおける撮影のためのライヴで、ジョージはカール・パーキンスと共に「Honey Don’t」と「That’s Alright」の2曲を演奏している。これまでもジョージは数多くカール・パーキンスと共演してきたが、これが公の場での最後の共演になる。先輩を立てるジョージと、可愛い後輩のリスペクトに応えるパーキンスとのコラボはこれが見納めとなる。
【BOB DYLAN TOUR 1991】
再びボブ・ディランのツアーの映像である。1991年2月17日ロンドンでのコンサート、ジョージはこの日、演奏ではなく、コンサートの終わりにロンウッドと共にステージに上がり、ディランに花束を渡すため登壇したのである。突然の二人の登場に客席も沸いている。
【BOB DYLAN 30th ANNIVERSARY CONCERT】
2016年にノーベル文学賞まで受賞してディランの存在というのは一般ロックファン以外にも広く浸透した感がある。ディランはミュージシャン間でもリスペクトされた特別な存在である。そんなディランがレコード・デビューしたのは1962年である。そして1992年10月16日、ニューヨークMSGにて、ディランのデビュー30周年を祝うコンサートが行なわれたのである。ミュージシャンズ・ミュージシャンのディランだけあって出演者は豪華そのもの。本作では、そのリハーサルの様子、前日のサウンドチェックの様子、そして本編と、可能な限りの映像を集めて収録している。
まず1992年10月12日から14日にかけて行われたリハーサルの様子である。すべて名のあるベテランだけに、それほどリハーサルに時間をかけずとも大丈夫なのだろう。ニール・ヤングが歌っている最中にジョージがリハ会場に到着。トムペティらと談笑している様子から始まる。続いてエリック・クラプトンが到着してニール・ヤングと握手、それぞれが楽器を持ち、「My Back Pages」をリハーサルする様子が収録されている。
続いて1992年10月15日のサウンドチェックの様子である。ディランが歌っているところをジョージが自分でハンディカムで撮影している。ジョージは「If Not For You」でサウンドチェックをしている。続いて「Absolutely Sweet Marie」で再びサウンドチェックを入念に行なっている。
そしていよいよ1992年10月16日本番当日である。紫の派手な衣装に身を包んだジョージが印象的なジョージ久しぶりのステージである。ここでは「If Not For You」「Absolutely Sweet Marie」の2曲を歌った後、本日の主役ボブ・ディランを紹介する大役をジョージが担っている。「My Back Pages」と「Knockin’ On Heaven’s Dooor」の2曲を当日の出演者全員で主役を囲んで歌うコンサートのハイライトである。この本編に関しては、本作は3つのバージョンを収録している。それぞれカメラワークやカメラ割りが異なり、また収録曲も異なるので、完全を期すために3つのバージョンがそれぞれ収録されている。最後にそれぞれ並べて見比べることが出来るマルチ・ヴューでも収録しているので、それぞれのバージョンでショットが異なるのがよくわかるというものだ。
【HOME MOVIE】
これは1993年に撮影されたプライベート映像である。イギリス国内にある仏教寺院にて僧侶と思しき人たちと「Hare Krishna」を演奏している。ジョージはアコーディオンを弾いている。寺院の一室で、演奏している人たち、写真撮影している人、机に座っている人、それぞれが思いのままに過ごしている平和な雰囲気である。
【GENTE QUE BRILHA】
この頃からジョージの容姿は急激に老けていった気がする。これはブラジルのテレビ番組にビデオ出演したときの映像である。ジョージは自宅フライヤパークの庭で椅子に座り「Here Comes The Sun」を歌っている。面白いのは、「Here Comes The Sun」の歌詞通りではなく、番組司会者のエマーソンの名前を歌詞に織り込んだ替え歌になっている点である。時折画面に挿入されるエマーソンの嬉しそうな顔といったらない。おそらく年代的にもビートルズを聴いてきた人なのだろう、その一人が自分の名前を入れて「Here Comes Emmerson」と歌ってくれるとは光栄の極みではないか。ジョージの演奏も聴きどころなのだが、この映像に関しては、司会のエマーソンの照れと喜びと幸福感入り交じった表情が見物であろう。
.【YIN & YANG】
1997年5月14日ニューヨークにおけるテレビ出演である。ラヴィ・シャンカールと共にシタールの実演をしている。ビートルズ時代にインドに行って以来、他のメンバーはその後の活動に“インドの匂い”を感じないが、ジョージだけは終生に渡ってインド哲学、宗教、音楽に対し深い造詣を持ち続けていたのがわかる。続いてジョージはひとりで「Any Road」と「If You Belong To Me」「All Things Must Pass」の3曲をアコギで演奏している。特に最後の「All Things Must Pass」はアレンジを変え、新しい解釈で演奏している。「万物流転」を想起させられるタイトルは、ジョージの人生における最大のテーマだったのではないだろうか。この曲が生前最後に歌った自身の曲ということになる。
【CARL PERKINS MEMORIAL】
ここまで本作を視聴してきた方ならば、ジョージがカール・パーキンスに深い愛情とリスペクトを抱いていたことは理解できるだろう。デビュー前のジョージは一時期「カール・ハリスン」という芸名を使っていた時期もある。ビートルズ時代は「みんないい娘」をカバーしている。そしてソロになってから幾度もの共演を重ねてきた。その敬愛するカール・パーキンスも1998年、とうとう鬼籍に入ってしまった。これは1998年1月23日、テネシー州にある教会でカール・パーキンスの葬儀が行なわれた、その場でのジョージの演奏である。厳かな雰囲気に似つかわしくない手拍子が起きる軽快な感じで「Your True Love」を演奏するジョージ。これはパーキンスとのお別れの場での演奏であるだけでなく、ジョージにとっても公の場で演奏した最後の姿となったのである。1962年にビートルズとしてデビューして以来36年あまり、これがジョージ最後の演奏なのである。
【COMPLETE LIVE HARRISON FILMS】
ビートルズ時代からライヴ活動には消極的だったジョージは生涯で大きなツアーは1974年北米と1991年日本の2度しか行なわなかった。それ以外は全て単発の出演にとどまっている。それもまたジョージに生き方、選択なのだから、ファンとしては何も言うべきことはない。ただこうして見てみると、けしてライヴを行なわなかったのではなく、むしろ演奏を楽しむことが出来る場には積極的に参加していることがわかる。それは敬愛するパーキンスとの共演であったり、親友エリック・クラプトンとの共演であったり、あるいはディランのためであったり、その時々の演奏を楽しんでいるように思える。仕事として毎晩同じ演奏を繰り返すことに抵抗はあっても、気の合う仲間との演奏は何物にも代えがたい時間だったに違いない。
こうして1969年から約30年に渡るジョージのライヴ映像を見ていくと、周囲のメンバーがあまり変わらないことに気付く。特に共演が多いエリック・クラプトンとは最初から最後まで友情が続き、それぞれの年代で共演している。ジョージとエリックの二人の容姿も時代によって大きく変貌しており、見ただけで何年の映像ないし写真が判別がつくくらいである。年齢と共に容姿は変われど、それでも変わらない二人の友情を感じることができる。本作は1969年のデラボニのツアーから、最後の公での演奏となった1998年パーキンスの葬儀まで、ざっと30年に渡るジョージのライヴの軌跡を集大成したものである。ロックの歴史に多大な足跡を残したジョージ・ハリスンをぜひ本作で追体験していただきたいと思っている。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。
DVD DISC ONE
DELANEY AND BONNIE Falconer Theater, Copenhagen Denmark
December 10, 1969
01. Poor Elijah
02. I Don't Know Why
03. Where There's A Will, There's A Way
04. Special Life
05. I Don't Want To Discuss It
06. That's What My Man Is For
07. Comin' Home
08. Tutti Frutti - The Girl Can't Help It - Long Tall Sally - Jenny Jenny
THE DICK CAVETT SHOW with Gary Wright New York City U.S.A.
November 23, 1971
09. Two Faced Man
THE DAVID FROST SHOW New York City U.S.A.
November 24, 1971
10. Sitar demonstration
RUTLAND WEEKEND TELEVISION BBC U.K.
December 13, 1975
11. Introduction - “Pirate Bob” Comic Skits
12. The Pirate Song
SATURDAY NIGHT LIVE with Paul Simon New York City U.S.A.
November 18, 1976
13. Intro Skit
14. Here Comes The Sun
15. Homeward Bound
DISCO 77 ZDF, Germany
February 2, 1977
16. Introduction
17. This Song
SLOW HAND TOUR with Elton John Civic Hall Guilford U.K.
December 7, 1978
18. Further Up On The Road
DEEP PURPLE TOUR Entertaiment Center Sydney Australia
December 13, 1984
19. Lucille
A ROCKABILLY TRIBUTE TO CARL PERKINS London, U.K.
October 21, 1985
20. Carl and George chat
21. Honey Don’t
22. Matchbox
23. I Got A Woman
24. Everybody’s Trying To Be My Baby
25. Your True Love
DISC TWO
HEARTBEAT CONCERT Birmingham U.K.
March 15, 1986
01. Johnny B Goode
PALOMINO CLUB Hollywood, CA U.S.A.
February 19, 1987
02. Introduction - Checkin’Up On My Baby
03. Matchbox - Gone Gone
04. Honey Don’t
05. Blue Suede Shoes
06. Watching the River Flow - Willie and The Hand Jive
07. Peggy Sue
08. Dizzy Miss Lizzy
09. Twist and Shout
THE PRINCE'S TRUST CONCERT Wembley U.K.
June 6, 1987
10. Introduction
11. While My Guitar Gently Weeps
12. Here Comes The Sun
13. With A Little Help From My Friends
BOB DYLAN TOUR Wembley U.K.
October 17, 1987
14. Rainy Day Women 12 & 35 #1
15. Rainy Day Women 12 & 35 #2
THE MOVIE LIFE OF GEORGE Shepperton Film Studios London U.K.
October 1, 1988
16. Honey Don't
17. That's All Right
BOB DYLAN TOUR Hammersmith Odeon London U.K.
February 17, 1991
18. George & Ron Wood bring flowers
BOB DYLAN 30th ANNIVERSARY CONCERT CELEBRATION
REHEARSALS Sir Studios, New York U.S.A. October 12-14, 1992
19. George arrives
20. My Back Pages #1 practice
21. My Back Pages #2
22. My Back Pages #3 practice
23. My Back Pages #4
24. My Back Pages #5
25. End of the Rehearsal
DISC THREE
BOB DYLAN 30th ANNIVERSARY CONCERT CELEBRATION
SOUNDCHECK October 15, 1992
01. George Films Bob
02. If Not For You #1
03. If Not For You #2
04. Absolutely Sweet Marie #1
05. Absolutely Sweet Marie #2
06. Absolutely Sweet Marie #3
CONCERT October 16, 1992
VERSION 1
07. Introduction
08. If Not For You
09. Absolutely Sweet Marie
10. George Introduces Bob
11. My Back Pages
12. Kockin’ On Heaven’s Door
VERSION 2
13. Introduction
14. If Not For You
15. Absolutely Sweet Marie
16. My Back Pages
VERSION 3
17. Introduction
18. Absolutely Sweet Marie
19. My Back Pages (All Stars)
MULTI VIEW 3 VERSIONS
20. If Not For You
21. Absolutely Sweet Marie
22. My Back Pages
PROMO CLIP
23. My Back Pages
HOME MOVIE Bhaktivedanta Manor Temple
Summer 1993
24. Hare Krishna
GENTE QUE BRILHA Friar Park Oxfordshire U.K.
October 31, 1996
25. Here Comes Emerson
YIN & YANG with Ravi Shankar New York City U.S.A.
May 14, 1997
26. Introduction - practicing
27. Prabhujee
28. George test his guitar
29. Any Road #1 Rehearsal
30. Any Road #2
31. If You Belong To Me
32. All Things Must Pass
CARL PERKINS MEMORIAL Womack Memorial Chapel Jackson TN U.S.A
January 23, 1998
33. Your True Love
元々ジョージはQUIET BEATLEの愛称が示す通り、物静かで庭いじりを好む典型的な英国人であった。広大な敷地に童話の世界のような邸宅を構え、趣味に没頭する、そのような生活をジョージは望んでいたのだろう。ビートルズ解散後は大作『ALL THINGS MUST PASS』をリリースし、ライヴから解放され、またビートルズから解放された自由を満喫しているかのように思えた。バングラデシュ・コンサートで単発にステージには出たものの、おそらくジョージにとってツアーとは無縁なものに思えた。しかし、意外なことに、1966年以来、ビートルズのメンバーで初めて全米ツアーを行なったのは、あれほどライヴを忌避していた誰あろうジョージだったのである。1974年、自身のレーベルであるダークホース・レーベルの立ち上げと、同名アルバムのリリース、そしてレーベル所属のラヴィ・シャンカールと共にアメリカとカナダで45公演のツアーを行なったのである。しかし、残されている音源を聴けばわかる通り、ツアー慣れしていないジョージの声は早々にガラガラになり、また中盤のラヴィ・シャンカールの演奏はロックを聴きに来た聴衆にはあまり受け入れられず、マスコミには散々な酷評を受けてしまう。「気にしぃ」のジョージは以後、ツアーに出ることはなかった。
1991年、突如ジョージがツアーを行なうと発表された。先の北米ツアーから実に17年ぶりのことである。しかも日本のみというから驚かされた。当時の日本はまだバブルの余韻が残っており、為替も円高であったこと、またクラプトンが、自身を含むバンドをジョージに提供すること、何度も来日公演を行なっているクラプトンは日本のメディアが他国のように辛辣でないことを知っていたことなど、様々な要因が重なり、エリックと一緒に日本でならと、ジョージが重い腰を上げたのである。この時の日本公演の成功に手応えを感じたジョージは、その後イギリス・ツアーも噂されたが、結局実現しなかった。これらジョージの主なライヴは以下の通りである。
■1971年 バングラデシュ・コンサート
2日間のコンサートがMクローデルより『COMPLETE PERFORMANCE OF BANGLADESH CONCERT』というタイトルでリリースされている。本編には唯一のライヴ・テイクであるレアな「Hear Me Lord」が含まれている。またリハーサル音源や、アセテート音源なども併録している。伝説のバングラデシュ・コンサートが2日間ほぼ完全な形で聴くことができる。
■1974年 北米ツアー
Mクローデルより、『FORTHWORTH EXPRESS』(ラヴィ・シャンカールのパートを含め完全収録)、『SEATTLE EXPRESS』(ツアー・パンフのレプリカ付。ラヴィ・シャンカールのパートを含め完全収録)、『ROCKN’ ROUGE』(バトン・ルージュ公演とロングビーチ公演を収録。ポスター付き)、『LOS ANGELES EXPRESS』(サウンドボード収録)の4タイトルがリリースされている。
■1991年 ジャパン・ツアー
全12公演がMクローデルよりリリースされている。特に大阪二日目と名古屋公演、福岡公演の完全収録盤はMクローデルが初登場かつ唯一のタイトルである。また部分的ながらサウンドボード音源や、エリック同席の日本における記者会見などを収録したEXTRA DISCや、ツアーを伝えるニュース・レポートなどを収録したDVDなどもセットに含まれている。
■1992年 ロイヤル・アルバート・ホール
日本公演の余波を受けて英国における1日のみの単発ステージである。Mクローデルより『CONCERT FOR NATURAL LAW PARTY』というタイトルでリリースされている。前座のゲーリームーアを含むコンサート完全収録のみならず、複数のオーディエンス・カメラで撮影された当日の映像を完全収録したDVDとのセットである。
このように、ジョージの主だったライヴというのは、大まかにこの4種しかない。ポールやリンゴに比べると淋しい限りではあるが、そのどれもがファンにとっては宝物のような珠玉の輝きを放っている。しかし、これ以外ジョージは一切ステージに立たなかったのか、或いはライヴを行なっていないのかというと、もちろん決してそのようなことはない。大々的にツアーは行なっていなくとも、単発でのステージは数多くこなしている。現在ではそれらジョージの活動記録は詳細に判明している。本作は、そのジョージの単発出演や、ゲスト出演、テレビ出演など、上記に挙げた4種以外の細かなライヴの映像を集めたものである。では内容を見ていこう。
【DELANEY AND BONNIE】
1969年12月10日、デラニー&ボニーのコペンハーゲンにおけるライヴ映像である。ジョージはサポート・ギタリストのひとりとして参加している。デラボニの曲のみならず、同じくサポート・ギタリストとして同行しているエリック・クラプトンもヴォーカルを採っているが、残念ながらジョージはヴォーカルを採ることなくバックに徹している。それにしてもジョージの風貌が長髪を南沙織のように真ん中で分け、髭も伸び放題と、ゲットバックセッション時よりもさらに伸びており、『ALL THINGS MUST PASS』のジャケットそのままなのが感慨深い。まだビートルズがかろうじて継続していた時期でありながら、ビートルズの枠から出て先に進みたいというジョージの気持ちが、このような他のミュージシャンとの交流で刺激されたことは想像に難くない。
【DICK CAVETT SHOW】
1971年11月23日ニューヨークにおけるテレビ出演時のスタジオ・ライヴである。メインはゲイリー・ライトである。演奏している「Two Faced Man」は1971年11月1日にリリースされたばかりのアルバム『Footprint』からの1曲である。このアルバムにジョージはギターで全面的に協力をしており、その縁でこのテレビ出演に至った。ジョージはうつむき加減で黙々と印象的なスライド・ギターを奏でている。このギターを聴いただけで、これがジョージの手によるものだとすぐわかる、それくらい特徴的なものである。
【DAVID FROST SHOW】
1971年11月24日ニューヨークにおけるテレビ出演である。ラヴィ・シャンカールと共に出演し、ジョージはシタールを披露している。曲というよりも思いついたフレーズを爪弾いているという感じである。ジョージいわく、シタールをマスターしようと思うと一生かかるとのことである。
【RUTLAND WEEKEND TELEVISION】
場所はイギリスに戻って1975年12月13日のテレビ・ライヴである。モンティ・パイソンを生んだお国柄だけあり、冒頭のコミカルな寸劇にもジョージが登場する。ジョージは片目片手片足のティピカルな海賊の扮装で寸劇に参加。まるで沢田研二がドリフのコントに登場した時のような驚きを感じるだろうが、本人もかなり楽しんでいるようで、一般のイメージに反し、ジョージ自身がこのような事が好きなのだろう。演奏の方は有名なので今さら説明の必要はないだろう。「My Sweet Lord」がシフォンズの「He’s So Fine」の盗作(実際に替え歌かと思うくらいに酷似している)ではないかと訴訟になっている最中の出演であり、それを逆手にとってユーモアで返す趣向となっている。イントロこそ「My Sweet Lord」であるが、曲が始まると歌詞もメロディもがらりと変わるフェイントで、曲は「The Pirate Song」(盗まれた曲)という演出である。なんとも言えないジョージのドヤ顔が見物である。
【SATURDAY NIGHT LIVE】
1976年11月18日ニューヨークにおけるテレビ出演。ポール・サイモンとの共演で、お互いの曲を歌い合うというもの。これがもう実に素晴らしい演奏でジョージのライヴの中でも外すことのできない名演である。ポール・サイモンが「僕の友人のジョージ・ハリスンです」と紹介した時の客席の絶叫に近い沸き具合も凄まじい。1曲目は「Here Comes The Sun」である。演奏にしまりがあるのはポール・サイモンのギター・ピッキングの素晴らしさであろう。最初にジョージが歌い、2番の歌詞をサイモンが歌っている。ポール・サイモンが終始ジョージと目を合わせて歌っているのが良い雰囲気である。二曲目はサイモンがメインでの名曲「Homeward Bound」である。今度は「Here Comes The Sun」とは逆で、サイモンが先に歌い、2番の歌詞をジョージが歌うというもの。オリジナルを踏襲しつつ、いかにもジョージっぽく歌いまわしを変えているのがクセになりそうでたまらない。これは必見である。
【DISCO 77】
1977年2月2日ドイツの番組におけるスタジオ・ライヴである。音声はマイミングであるが、アルバム『33 1/3』のジャケット写真のようなカーリーヘアに口ひげという風貌のジョージが活き活きと歌う姿を、このような鮮明なカラー映像で見れることは貴重であろう。歌詞の合間に笑顔を見せる場面もある。どうでもよいことだが、ジョージは歯並びがきれいだ。
【SLOW HAND TOUR】
1978年12月7日エリック・クラプトンのツアーに飛び入りした日の映像である。曲は「Further On Up The Road」。ジョージは茶色系の上下にハンチング帽と、思いっきり普段着で、呼ばれたからチョイと出たという感じである。間奏で仲が良さそうにステージ上で耳打ちをして笑顔を見せるエリックとジョージが微笑ましい。ほとんど人前に出ていない時期のジョージのステージ映像である。容貌の変化からも二人の歴史の長さを感じる。演奏後はジョージがエリックの手をとって聴衆の歓声に応えている。
【DEEP PURPLE TOUR】
意外な組み合わせだが、1984年12月13日シドニーにおけるディープ・パープルのコンサートにジョージが飛び入りした時の映像である。さすがに急な飛び入りだったのか、曲はオールディーズ・ナンバー「Lucille」である。80年代のジョージ隠居期における貴重な映像である。白の上下を着たジョージが、わずかに腰をかがめ体を左右に振る程度で、ほとんど持ち場を離れず演奏している。
【A ROCKABILLY TRIBUTE TO CARL PERKINS】
1985年10月21日、ロンドンでテレビ向けの特別ライヴが行なわれた。カール・パーキンスをメインに多彩なゲストでパーキンスの曲を演奏するという企画である。カール・パーキンスを敬愛するジョージは、リンゴ・スターやエリック・クラプトン、デイヴ・エドモンズらと、このコンサートに参加している。当時テレビ放送され、音源と映像ともにソフト化されたので、ファンにはお馴染みのコンサートであろう。本作に収録しているのは、その本編ではなく、流出のリハーサル映像である。リハーサルとはいえ本番さながら、和やかな笑いの中でも緊迫した演奏が聴ける、まさに直前の最終チェックであろう。パーキンスとエリックがリハーサルをしている間、リンゴとジョージが何やら打ち合わせをしている様子など、非常に珍しいシーンを見ることができる。
【HEARTBEAT CONCERT】
1986年3月15日バーミンガムで行なわれた子供のための病院に寄付を募る目的のチャリティ・コンサートである。ヒゲを落とし短髪で精悍な顔つきのジョージが多くのゲストと共に「Jonny B Goode」を演奏している。ジョージはメインで紹介されている通り、トップ・バッターとしてヴォーカルを採っている。なんと2番の歌詞を歌うのはウイングス解散後のデニー・レインである。
【PALOMINO CLUB】
1987年2月19日、ハリウッドにある小さなクラブにおけるライヴである。誰が言い出したのか「Silver Wilburys」と呼ばれているが、ディランとジョージがいるものの、ウィルベリーズとはあまり関係がない。どことなくブルージーなアレンジでオールディーズ・ナンバーを演奏している。ジョージは「Matchbox」「Honey Don’t」といったリンゴがヴォーカルを採っていたナンバーの他、「Dizzy Miss Lizzy」のジョージ・バージョンといった珍しい曲を聴くことが出来る。最後の「Twist And Shout」はメインではなく、ビートルズ時代と同じコーラスとして加わっている。「Peggy Sue」は何度もポールは歌っているが、ジョージが歌っているのは珍しい。
【PRINCE’S TRUST CONCERT】
80年代を代表するジョージのライヴといえば1987年6月6日プリンス・トラスト・コンサートであろう。同じステージにエリック・クラプトンがいるとあって、ビートルズ時代の代表曲「While My Guitar Gently Weeps」を演奏している。もちろんギター・ソロはエリック・クラプトンである。しかもドラムを叩いているのはリンゴという、まさにレコーディング時のメンバーが3人揃っての貴重な演奏である。続いてアコギに持ち替え「Here Comes The Sun」である。ジョージがまだ20代の頃の曲であるが、40代半ばのジョージが大人の渋みを加えた名演であるといえる。そして最後はステージに立っている全員で「With A Little Help From My Friends」である。もちろんメイン・ヴォーカルはリンゴ。周囲のメンバーを見渡すとジョージの1991年日本公演のメンバーであったり、リンゴ・スター・バンドのメンバーであったり、ウィルベリーズのメンバーであったりと、この辺の人間関係が密接に繋がっているのがわかる。
【BOB DYLAN TOUR 1987】
ディランの1987年10月17日ロンドンにコンサートにジョージが飛び入りした時の映像である。曲は『BLONDE ON BLONDE』の「雨の日の女」である。オリジナルより幾分かアップ・テンポで演奏され、若きディランが必死で歌っているバックで、ジョージはあのスライド・ギターを全開で弾きまくっている。ギター・ソロで歓声が沸き起こっているのがわかる。途中、ディランがマイクから下がりジョージにリード・ヴォーカルを譲るシーンがいい。ジョージがディランの「雨の日の女」を歌うという非常に珍しい瞬間である。本作には、この日の演奏を2つのカメラで収録している。最初のカメラはステージ右上からのショット、二つ目のカメラはアリーナ正面からのショットである。
【THE MOVIE LIFE OF GEORGE】
1988年10月17日ロンドンにおける撮影のためのライヴで、ジョージはカール・パーキンスと共に「Honey Don’t」と「That’s Alright」の2曲を演奏している。これまでもジョージは数多くカール・パーキンスと共演してきたが、これが公の場での最後の共演になる。先輩を立てるジョージと、可愛い後輩のリスペクトに応えるパーキンスとのコラボはこれが見納めとなる。
【BOB DYLAN TOUR 1991】
再びボブ・ディランのツアーの映像である。1991年2月17日ロンドンでのコンサート、ジョージはこの日、演奏ではなく、コンサートの終わりにロンウッドと共にステージに上がり、ディランに花束を渡すため登壇したのである。突然の二人の登場に客席も沸いている。
【BOB DYLAN 30th ANNIVERSARY CONCERT】
2016年にノーベル文学賞まで受賞してディランの存在というのは一般ロックファン以外にも広く浸透した感がある。ディランはミュージシャン間でもリスペクトされた特別な存在である。そんなディランがレコード・デビューしたのは1962年である。そして1992年10月16日、ニューヨークMSGにて、ディランのデビュー30周年を祝うコンサートが行なわれたのである。ミュージシャンズ・ミュージシャンのディランだけあって出演者は豪華そのもの。本作では、そのリハーサルの様子、前日のサウンドチェックの様子、そして本編と、可能な限りの映像を集めて収録している。
まず1992年10月12日から14日にかけて行われたリハーサルの様子である。すべて名のあるベテランだけに、それほどリハーサルに時間をかけずとも大丈夫なのだろう。ニール・ヤングが歌っている最中にジョージがリハ会場に到着。トムペティらと談笑している様子から始まる。続いてエリック・クラプトンが到着してニール・ヤングと握手、それぞれが楽器を持ち、「My Back Pages」をリハーサルする様子が収録されている。
続いて1992年10月15日のサウンドチェックの様子である。ディランが歌っているところをジョージが自分でハンディカムで撮影している。ジョージは「If Not For You」でサウンドチェックをしている。続いて「Absolutely Sweet Marie」で再びサウンドチェックを入念に行なっている。
そしていよいよ1992年10月16日本番当日である。紫の派手な衣装に身を包んだジョージが印象的なジョージ久しぶりのステージである。ここでは「If Not For You」「Absolutely Sweet Marie」の2曲を歌った後、本日の主役ボブ・ディランを紹介する大役をジョージが担っている。「My Back Pages」と「Knockin’ On Heaven’s Dooor」の2曲を当日の出演者全員で主役を囲んで歌うコンサートのハイライトである。この本編に関しては、本作は3つのバージョンを収録している。それぞれカメラワークやカメラ割りが異なり、また収録曲も異なるので、完全を期すために3つのバージョンがそれぞれ収録されている。最後にそれぞれ並べて見比べることが出来るマルチ・ヴューでも収録しているので、それぞれのバージョンでショットが異なるのがよくわかるというものだ。
【HOME MOVIE】
これは1993年に撮影されたプライベート映像である。イギリス国内にある仏教寺院にて僧侶と思しき人たちと「Hare Krishna」を演奏している。ジョージはアコーディオンを弾いている。寺院の一室で、演奏している人たち、写真撮影している人、机に座っている人、それぞれが思いのままに過ごしている平和な雰囲気である。
【GENTE QUE BRILHA】
この頃からジョージの容姿は急激に老けていった気がする。これはブラジルのテレビ番組にビデオ出演したときの映像である。ジョージは自宅フライヤパークの庭で椅子に座り「Here Comes The Sun」を歌っている。面白いのは、「Here Comes The Sun」の歌詞通りではなく、番組司会者のエマーソンの名前を歌詞に織り込んだ替え歌になっている点である。時折画面に挿入されるエマーソンの嬉しそうな顔といったらない。おそらく年代的にもビートルズを聴いてきた人なのだろう、その一人が自分の名前を入れて「Here Comes Emmerson」と歌ってくれるとは光栄の極みではないか。ジョージの演奏も聴きどころなのだが、この映像に関しては、司会のエマーソンの照れと喜びと幸福感入り交じった表情が見物であろう。
.【YIN & YANG】
1997年5月14日ニューヨークにおけるテレビ出演である。ラヴィ・シャンカールと共にシタールの実演をしている。ビートルズ時代にインドに行って以来、他のメンバーはその後の活動に“インドの匂い”を感じないが、ジョージだけは終生に渡ってインド哲学、宗教、音楽に対し深い造詣を持ち続けていたのがわかる。続いてジョージはひとりで「Any Road」と「If You Belong To Me」「All Things Must Pass」の3曲をアコギで演奏している。特に最後の「All Things Must Pass」はアレンジを変え、新しい解釈で演奏している。「万物流転」を想起させられるタイトルは、ジョージの人生における最大のテーマだったのではないだろうか。この曲が生前最後に歌った自身の曲ということになる。
【CARL PERKINS MEMORIAL】
ここまで本作を視聴してきた方ならば、ジョージがカール・パーキンスに深い愛情とリスペクトを抱いていたことは理解できるだろう。デビュー前のジョージは一時期「カール・ハリスン」という芸名を使っていた時期もある。ビートルズ時代は「みんないい娘」をカバーしている。そしてソロになってから幾度もの共演を重ねてきた。その敬愛するカール・パーキンスも1998年、とうとう鬼籍に入ってしまった。これは1998年1月23日、テネシー州にある教会でカール・パーキンスの葬儀が行なわれた、その場でのジョージの演奏である。厳かな雰囲気に似つかわしくない手拍子が起きる軽快な感じで「Your True Love」を演奏するジョージ。これはパーキンスとのお別れの場での演奏であるだけでなく、ジョージにとっても公の場で演奏した最後の姿となったのである。1962年にビートルズとしてデビューして以来36年あまり、これがジョージ最後の演奏なのである。
【COMPLETE LIVE HARRISON FILMS】
ビートルズ時代からライヴ活動には消極的だったジョージは生涯で大きなツアーは1974年北米と1991年日本の2度しか行なわなかった。それ以外は全て単発の出演にとどまっている。それもまたジョージに生き方、選択なのだから、ファンとしては何も言うべきことはない。ただこうして見てみると、けしてライヴを行なわなかったのではなく、むしろ演奏を楽しむことが出来る場には積極的に参加していることがわかる。それは敬愛するパーキンスとの共演であったり、親友エリック・クラプトンとの共演であったり、あるいはディランのためであったり、その時々の演奏を楽しんでいるように思える。仕事として毎晩同じ演奏を繰り返すことに抵抗はあっても、気の合う仲間との演奏は何物にも代えがたい時間だったに違いない。
こうして1969年から約30年に渡るジョージのライヴ映像を見ていくと、周囲のメンバーがあまり変わらないことに気付く。特に共演が多いエリック・クラプトンとは最初から最後まで友情が続き、それぞれの年代で共演している。ジョージとエリックの二人の容姿も時代によって大きく変貌しており、見ただけで何年の映像ないし写真が判別がつくくらいである。年齢と共に容姿は変われど、それでも変わらない二人の友情を感じることができる。本作は1969年のデラボニのツアーから、最後の公での演奏となった1998年パーキンスの葬儀まで、ざっと30年に渡るジョージのライヴの軌跡を集大成したものである。ロックの歴史に多大な足跡を残したジョージ・ハリスンをぜひ本作で追体験していただきたいと思っている。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。
DVD DISC ONE
DELANEY AND BONNIE Falconer Theater, Copenhagen Denmark
December 10, 1969
01. Poor Elijah
02. I Don't Know Why
03. Where There's A Will, There's A Way
04. Special Life
05. I Don't Want To Discuss It
06. That's What My Man Is For
07. Comin' Home
08. Tutti Frutti - The Girl Can't Help It - Long Tall Sally - Jenny Jenny
THE DICK CAVETT SHOW with Gary Wright New York City U.S.A.
November 23, 1971
09. Two Faced Man
THE DAVID FROST SHOW New York City U.S.A.
November 24, 1971
10. Sitar demonstration
RUTLAND WEEKEND TELEVISION BBC U.K.
December 13, 1975
11. Introduction - “Pirate Bob” Comic Skits
12. The Pirate Song
SATURDAY NIGHT LIVE with Paul Simon New York City U.S.A.
November 18, 1976
13. Intro Skit
14. Here Comes The Sun
15. Homeward Bound
DISCO 77 ZDF, Germany
February 2, 1977
16. Introduction
17. This Song
SLOW HAND TOUR with Elton John Civic Hall Guilford U.K.
December 7, 1978
18. Further Up On The Road
DEEP PURPLE TOUR Entertaiment Center Sydney Australia
December 13, 1984
19. Lucille
A ROCKABILLY TRIBUTE TO CARL PERKINS London, U.K.
October 21, 1985
20. Carl and George chat
21. Honey Don’t
22. Matchbox
23. I Got A Woman
24. Everybody’s Trying To Be My Baby
25. Your True Love
DISC TWO
HEARTBEAT CONCERT Birmingham U.K.
March 15, 1986
01. Johnny B Goode
PALOMINO CLUB Hollywood, CA U.S.A.
February 19, 1987
02. Introduction - Checkin’Up On My Baby
03. Matchbox - Gone Gone
04. Honey Don’t
05. Blue Suede Shoes
06. Watching the River Flow - Willie and The Hand Jive
07. Peggy Sue
08. Dizzy Miss Lizzy
09. Twist and Shout
THE PRINCE'S TRUST CONCERT Wembley U.K.
June 6, 1987
10. Introduction
11. While My Guitar Gently Weeps
12. Here Comes The Sun
13. With A Little Help From My Friends
BOB DYLAN TOUR Wembley U.K.
October 17, 1987
14. Rainy Day Women 12 & 35 #1
15. Rainy Day Women 12 & 35 #2
THE MOVIE LIFE OF GEORGE Shepperton Film Studios London U.K.
October 1, 1988
16. Honey Don't
17. That's All Right
BOB DYLAN TOUR Hammersmith Odeon London U.K.
February 17, 1991
18. George & Ron Wood bring flowers
BOB DYLAN 30th ANNIVERSARY CONCERT CELEBRATION
REHEARSALS Sir Studios, New York U.S.A. October 12-14, 1992
19. George arrives
20. My Back Pages #1 practice
21. My Back Pages #2
22. My Back Pages #3 practice
23. My Back Pages #4
24. My Back Pages #5
25. End of the Rehearsal
DISC THREE
BOB DYLAN 30th ANNIVERSARY CONCERT CELEBRATION
SOUNDCHECK October 15, 1992
01. George Films Bob
02. If Not For You #1
03. If Not For You #2
04. Absolutely Sweet Marie #1
05. Absolutely Sweet Marie #2
06. Absolutely Sweet Marie #3
CONCERT October 16, 1992
VERSION 1
07. Introduction
08. If Not For You
09. Absolutely Sweet Marie
10. George Introduces Bob
11. My Back Pages
12. Kockin’ On Heaven’s Door
VERSION 2
13. Introduction
14. If Not For You
15. Absolutely Sweet Marie
16. My Back Pages
VERSION 3
17. Introduction
18. Absolutely Sweet Marie
19. My Back Pages (All Stars)
MULTI VIEW 3 VERSIONS
20. If Not For You
21. Absolutely Sweet Marie
22. My Back Pages
PROMO CLIP
23. My Back Pages
HOME MOVIE Bhaktivedanta Manor Temple
Summer 1993
24. Hare Krishna
GENTE QUE BRILHA Friar Park Oxfordshire U.K.
October 31, 1996
25. Here Comes Emerson
YIN & YANG with Ravi Shankar New York City U.S.A.
May 14, 1997
26. Introduction - practicing
27. Prabhujee
28. George test his guitar
29. Any Road #1 Rehearsal
30. Any Road #2
31. If You Belong To Me
32. All Things Must Pass
CARL PERKINS MEMORIAL Womack Memorial Chapel Jackson TN U.S.A
January 23, 1998
33. Your True Love
GEORGE HARRISON / COMPLETE LIVE HARRISON FILMS 【3DVD】
販売価格: 6,500円(税込)
在庫あり