PAUL McCARTNEY / WINGS UNSURPASSED MASTERS 【2CD】
PAUL McCARTNEY / WINGS UNSURPASSED MASTERS 【2CD】
販売価格: 4,000円(税込)
在庫あり
ビートルズ解散の要因はこれといった決定的なものはなく、様々な要素が絡みあい崩壊に至ったというしかない。その要因の一つにミュージシャンとしての姿勢の相違がある。デビュー前より、将来プロとしてやっていくことに意識的だったポールに対し、ジョンら他のメンバーは自然の成り行きに身を任せていた感がある。ビートルズ解散時ポールはまだ20代でありリタイアするには若過ぎる。再度新たにバンドを作る事を決意する。ポール・マッカートニーのソロ・キャリアの成功に疑問を挟む人などいなかっただろうが、その門出はおよそ順風満帆に出航したとは言い難いものであった。ポールほどの名声と人脈があれば有名ミュージシャンを募って当時流行のスーパーバンドを結成する事も可能であったろうが、デニーレインというキーマンを加入させたものの、その他はほぼ無名のミュージシャンを集め、あろうことか音楽的素養が皆無であった妻リンダをキーボードに据えたのである。
ビートルズ解散直後にポールは2枚のソロ・アルバムを発表している。宅録の延長にある『McCartney』と、バンド形式の『RAM』である。特に『RAM』のレコーディングに際しポールは参加ミュージシャンのオーディションを行なっている。これはただのオーディションではなく、新たなバンドを結成するメンバー選考を兼ねていたと思われる。見事合格したドラムスのデニー・シウェルは「ポールはある種の『覚悟』のようなものも求めていたように感じた」と後に回想している。そうして結成されたのがウイングスであった。
ポールがウイングスを結成した目的は、アルバムを作り、ツアーに出る事、ツアーに出るためにはパーマネントなバンドが必要である。それがウイングスである。ファースト・アルバム『Wild Life』リリース後に早くもツアーに出ているが、レパートリーの少なさは否めず、同じ曲を二度演奏したり、カバー曲を演奏したりと、後年の完成されたステージとは大きく異なる手探りの状態であった。しかしポールの才能は隠しようがなく、ウイングスとしてのセカンド・アルバム『Red Rose Speedway』は非常に美しい名盤となっている。
とにかく初動のウイングスはポールの意欲がまるで焦りにも似た性急なもので、アルバム製作とライブを平行して行ない、短期間でウイングスをビートルズに匹敵するバンドに育て上げて見せるというポールの意気込みが感じられる熱い時期であった。前述の名盤セカンド・アルバム『Red Rose Speedway』はレコーディングに半年を費やし、何とアルバム2枚分のマテリアルがあり、それを凝縮して現在我々が知る形となったのである。繰り返すが、この時期の若きポールは熱に浮かされたように創作意欲に燃えていた時期であるということが、この事実からも伺える。本作は、その『Red Rose Speedway』の時期を前後とした初期ウイングスのスタジオ・アウトテイク集である。
【DISC 1】
このディスクはアンサーパスト・マスターズのボリューム1に相当する。アルバム『Red Rose Speedway』のスタジオ・アウトテイクが前半のメインとなっている。「Big Barn Bed」はアルバムの冒頭を飾るオープニング・ナンバーである。ここではまだ初期段階のテイクが収録されている。リフに合わせて歌詞を紡ぐ曲の骨子は既に完成しており、このように歌い込んでアレンジを作り込むその過程であろう。ボーカルはシングル・トラックで、何らエフェクトがかけられておらず非常に生々しいボーカルで聴くことが出来る。エンディングはフェイドアウトではなく完奏されるが、およそきちんとしたものではなく、どうせ最終テイクはフェイドさせるから、という気持ちだったのだろう。
「The Mess」はシングル「My Love」のB面曲としてオランダのハーグ公演におけるライブ・バージョンが発表されているが、ここに収録されているのは未発表のスタジオ・バージョンである。勢いあるライブ・バージョンと比べ印象ががらりと変わり、ギター・リフをメインとしたハード・ロック的なアプローチとして作られた曲だというのがわかる。ブレイク部分でのベース・フレーズ、そして途中に挿入される重々しい低音のピアノといい、およそこの時代ならではの空気を感じさせてくれる楽曲である。
「When The Night」はラフミックスでテイク自体は同じようだが、エンディングが最後まで収録されているのが特徴である。「Single Pigeon」は別テイクで、最終バージョンに加えられた後追いコーラスが一切入っておらず、ポールのピアノ弾き語りバージョンとなっている。ボーカルが非常に生々しく、また前面に出ているミックスがなされており、ファンにとってはたまらないものだろう。「Thank You Darling」は最終的に収録が見送られた未発表曲である。ボーカルはポールが担当し、リンダが頓狂な合いの手を入れているが、曲調はデニー・レインのテイストが強い。
「Mary Had A Little Lamb」はウイングスのセカンド・シングルである。同名タイトルの童謡からの拝借を指摘されたポールは「僕の娘の名前がメアリーで、彼女は羊を飼っているんだよ」と述べている。ファースト・シングルが「アイルランドに平和を」で、続くセカンド・シングルが童謡調という、方向性が定まらぬ時期であったことを示唆している。ちなみにサード・シングルは「Hi Hi Hi」というから当時のファンは戸惑ったであろう。ここに収録のテイクは、コーラスに入るところでポールが掛け声をかけるものの、ほぼリンダ・バージョンとなっている。一旦曲が終わった後にリプライズ的にコーラス部分を繰り返す手法がここでも採用されているが、結局リリースされた時には割愛されてしまった。
「Loup」はアルバムの中では異色のインスト・ナンバーであるが、コーラスが入っているためインストの印象が薄く、続く壮大なメドレーのまるで長い前奏のような感じである。ここに収録されているのはポールのカウントから始まる。「Tragedy」は未発表アルバム『Cold Cuts』でお馴染みの未発表曲である。
このディスクの後半は1973年7月10日ニューキャッスル公演におけるライブが収録されている。この日のニューキャッスルは公式リリースが検討されていたのか、正式にレコーディングされ、アセテートまで切られているが、現在でも未発表のままである。この試聴用のアセテート音源が元となって比較的早い時期からコレクターの間では知られている音源であったが、ここに収録のものはそのアセテート音源からではなく、なんとテープ・ソースである。しっとり落ち着いた雑味のないキレイな音質には非常に驚かされる。しかもアセテートには未収録だった「Go Now」が含まれているなど、明らかに音源の出所が遡っているのがわかる。内容的にも非常に興味深いもので、「Maybe I’m Amazed」や「Live And Let Die」に至っては現在でもポールの重要なステージ・レパートリーとして継続して演奏している。現在の過度な演出が加えられたものではなく、約50年前のシンプルな演奏だと思うと感慨深い。
【DISC 2】
このディスクはアンサーパスト・マスターズのボリューム2に相当する。非常に珍しい貴重な音源が数多く収録されていたボリューム1に比べ、このボリューム2はインストがメインであるためか評価が低いが、内容的には非常に興味深いものが数多く含まれている。何よりほとんどアウトテイクがない『RAM』の音源を含んでいるというのが素晴らしい。「The Back Seat Of My Car」はアルバム最後を飾る楽曲であるが、ポールによくありがちな大団円的なものではなく、哀愁漂う夕焼けを思わせる佳曲、本作にはそのベーシックトラックが収録されている。
「The Best Friend」は、これもまたライブ・バージョンである。この曲のスタジオ・バージョンは現在のところ発掘されておらず、未発表アルバム『Cold Cuts』に収録される予定のテイクもライブ・バージョンであった。ロックンロールとブルースの狭間にあるような曲である。続く「Mama’s Little Girl」「Hey Diddle」「A Love For You」「Tragedy」の4曲もまた、『Cold Cuts』に収録することを前提に何度もミックスがなされているが、まとまった形では結局リリースされずに現在に至る。80年代に入ってもミックス作業は継続されていたが、既にこの時期にレコーディングされていた録音が元となっている。「I Would Only Smile」はデニー・レインの曲である。1972年のウイングスのステージでも披露されているが、ここではスタジオ・バージョンである。
【UNSURPASSED MASTERS Vol.1 & 2】
本作はウイングス初期のスタジオ・アウトテイクを収録したストロベリー・レーベルの同名タイトルの復刻盤である。裏ジャケットにオリジナルのジャケット写真を掲載してある。このタイトルで初登場したテイク、そして現在でも本作がベストとされている音質のテイクも多く、この歴史的なタイトルを2枚組としてカップリングしている。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。日本語帯付。
UNSURPASSED MASTERS Vol.1
DISC ONE
01. Big Barn Bed
02. The Mess
03. When The Night
04. Single Pigeon
05. Thank You Darling
06. Mary Had A Little Lamb
07. Loup
08. Tragedy
09. Seaside Woman
10. Wild Life
11. Little Woman - C Moon
12. Maybe I'm Amazed
13. My Love
14. Live And Let Die
15. Go Now
UNSURPASSED MASTERS Vol.2
DISC TWO
01. Bridge Over The River Suite
02. The Back Seat Of My Car
03. Best Friend
04. Mama's Little Girl
05. Hey Diddle
06. A Love For You
07. I Would Only Smile
08. Tragedy
09. Long Haired Lady - Love Is Long
10. Sunshine Sometime
11. Rode All Night
12. Night Out
13. Seaside Woman
ビートルズ解散直後にポールは2枚のソロ・アルバムを発表している。宅録の延長にある『McCartney』と、バンド形式の『RAM』である。特に『RAM』のレコーディングに際しポールは参加ミュージシャンのオーディションを行なっている。これはただのオーディションではなく、新たなバンドを結成するメンバー選考を兼ねていたと思われる。見事合格したドラムスのデニー・シウェルは「ポールはある種の『覚悟』のようなものも求めていたように感じた」と後に回想している。そうして結成されたのがウイングスであった。
ポールがウイングスを結成した目的は、アルバムを作り、ツアーに出る事、ツアーに出るためにはパーマネントなバンドが必要である。それがウイングスである。ファースト・アルバム『Wild Life』リリース後に早くもツアーに出ているが、レパートリーの少なさは否めず、同じ曲を二度演奏したり、カバー曲を演奏したりと、後年の完成されたステージとは大きく異なる手探りの状態であった。しかしポールの才能は隠しようがなく、ウイングスとしてのセカンド・アルバム『Red Rose Speedway』は非常に美しい名盤となっている。
とにかく初動のウイングスはポールの意欲がまるで焦りにも似た性急なもので、アルバム製作とライブを平行して行ない、短期間でウイングスをビートルズに匹敵するバンドに育て上げて見せるというポールの意気込みが感じられる熱い時期であった。前述の名盤セカンド・アルバム『Red Rose Speedway』はレコーディングに半年を費やし、何とアルバム2枚分のマテリアルがあり、それを凝縮して現在我々が知る形となったのである。繰り返すが、この時期の若きポールは熱に浮かされたように創作意欲に燃えていた時期であるということが、この事実からも伺える。本作は、その『Red Rose Speedway』の時期を前後とした初期ウイングスのスタジオ・アウトテイク集である。
【DISC 1】
このディスクはアンサーパスト・マスターズのボリューム1に相当する。アルバム『Red Rose Speedway』のスタジオ・アウトテイクが前半のメインとなっている。「Big Barn Bed」はアルバムの冒頭を飾るオープニング・ナンバーである。ここではまだ初期段階のテイクが収録されている。リフに合わせて歌詞を紡ぐ曲の骨子は既に完成しており、このように歌い込んでアレンジを作り込むその過程であろう。ボーカルはシングル・トラックで、何らエフェクトがかけられておらず非常に生々しいボーカルで聴くことが出来る。エンディングはフェイドアウトではなく完奏されるが、およそきちんとしたものではなく、どうせ最終テイクはフェイドさせるから、という気持ちだったのだろう。
「The Mess」はシングル「My Love」のB面曲としてオランダのハーグ公演におけるライブ・バージョンが発表されているが、ここに収録されているのは未発表のスタジオ・バージョンである。勢いあるライブ・バージョンと比べ印象ががらりと変わり、ギター・リフをメインとしたハード・ロック的なアプローチとして作られた曲だというのがわかる。ブレイク部分でのベース・フレーズ、そして途中に挿入される重々しい低音のピアノといい、およそこの時代ならではの空気を感じさせてくれる楽曲である。
「When The Night」はラフミックスでテイク自体は同じようだが、エンディングが最後まで収録されているのが特徴である。「Single Pigeon」は別テイクで、最終バージョンに加えられた後追いコーラスが一切入っておらず、ポールのピアノ弾き語りバージョンとなっている。ボーカルが非常に生々しく、また前面に出ているミックスがなされており、ファンにとってはたまらないものだろう。「Thank You Darling」は最終的に収録が見送られた未発表曲である。ボーカルはポールが担当し、リンダが頓狂な合いの手を入れているが、曲調はデニー・レインのテイストが強い。
「Mary Had A Little Lamb」はウイングスのセカンド・シングルである。同名タイトルの童謡からの拝借を指摘されたポールは「僕の娘の名前がメアリーで、彼女は羊を飼っているんだよ」と述べている。ファースト・シングルが「アイルランドに平和を」で、続くセカンド・シングルが童謡調という、方向性が定まらぬ時期であったことを示唆している。ちなみにサード・シングルは「Hi Hi Hi」というから当時のファンは戸惑ったであろう。ここに収録のテイクは、コーラスに入るところでポールが掛け声をかけるものの、ほぼリンダ・バージョンとなっている。一旦曲が終わった後にリプライズ的にコーラス部分を繰り返す手法がここでも採用されているが、結局リリースされた時には割愛されてしまった。
「Loup」はアルバムの中では異色のインスト・ナンバーであるが、コーラスが入っているためインストの印象が薄く、続く壮大なメドレーのまるで長い前奏のような感じである。ここに収録されているのはポールのカウントから始まる。「Tragedy」は未発表アルバム『Cold Cuts』でお馴染みの未発表曲である。
このディスクの後半は1973年7月10日ニューキャッスル公演におけるライブが収録されている。この日のニューキャッスルは公式リリースが検討されていたのか、正式にレコーディングされ、アセテートまで切られているが、現在でも未発表のままである。この試聴用のアセテート音源が元となって比較的早い時期からコレクターの間では知られている音源であったが、ここに収録のものはそのアセテート音源からではなく、なんとテープ・ソースである。しっとり落ち着いた雑味のないキレイな音質には非常に驚かされる。しかもアセテートには未収録だった「Go Now」が含まれているなど、明らかに音源の出所が遡っているのがわかる。内容的にも非常に興味深いもので、「Maybe I’m Amazed」や「Live And Let Die」に至っては現在でもポールの重要なステージ・レパートリーとして継続して演奏している。現在の過度な演出が加えられたものではなく、約50年前のシンプルな演奏だと思うと感慨深い。
【DISC 2】
このディスクはアンサーパスト・マスターズのボリューム2に相当する。非常に珍しい貴重な音源が数多く収録されていたボリューム1に比べ、このボリューム2はインストがメインであるためか評価が低いが、内容的には非常に興味深いものが数多く含まれている。何よりほとんどアウトテイクがない『RAM』の音源を含んでいるというのが素晴らしい。「The Back Seat Of My Car」はアルバム最後を飾る楽曲であるが、ポールによくありがちな大団円的なものではなく、哀愁漂う夕焼けを思わせる佳曲、本作にはそのベーシックトラックが収録されている。
「The Best Friend」は、これもまたライブ・バージョンである。この曲のスタジオ・バージョンは現在のところ発掘されておらず、未発表アルバム『Cold Cuts』に収録される予定のテイクもライブ・バージョンであった。ロックンロールとブルースの狭間にあるような曲である。続く「Mama’s Little Girl」「Hey Diddle」「A Love For You」「Tragedy」の4曲もまた、『Cold Cuts』に収録することを前提に何度もミックスがなされているが、まとまった形では結局リリースされずに現在に至る。80年代に入ってもミックス作業は継続されていたが、既にこの時期にレコーディングされていた録音が元となっている。「I Would Only Smile」はデニー・レインの曲である。1972年のウイングスのステージでも披露されているが、ここではスタジオ・バージョンである。
【UNSURPASSED MASTERS Vol.1 & 2】
本作はウイングス初期のスタジオ・アウトテイクを収録したストロベリー・レーベルの同名タイトルの復刻盤である。裏ジャケットにオリジナルのジャケット写真を掲載してある。このタイトルで初登場したテイク、そして現在でも本作がベストとされている音質のテイクも多く、この歴史的なタイトルを2枚組としてカップリングしている。美しいピクチャー・ディスク仕様の永久保存がっちりプレス盤。日本語帯付。
UNSURPASSED MASTERS Vol.1
DISC ONE
01. Big Barn Bed
02. The Mess
03. When The Night
04. Single Pigeon
05. Thank You Darling
06. Mary Had A Little Lamb
07. Loup
08. Tragedy
09. Seaside Woman
10. Wild Life
11. Little Woman - C Moon
12. Maybe I'm Amazed
13. My Love
14. Live And Let Die
15. Go Now
UNSURPASSED MASTERS Vol.2
DISC TWO
01. Bridge Over The River Suite
02. The Back Seat Of My Car
03. Best Friend
04. Mama's Little Girl
05. Hey Diddle
06. A Love For You
07. I Would Only Smile
08. Tragedy
09. Long Haired Lady - Love Is Long
10. Sunshine Sometime
11. Rode All Night
12. Night Out
13. Seaside Woman
PAUL McCARTNEY / WINGS UNSURPASSED MASTERS 【2CD】
販売価格: 4,000円(税込)
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